『林檎が木から落ちるとき、音が生まれる』
2,750yen(Tax in)
『林檎が木から落ちるとき、音が生まれる』はエレナ・トゥタッチコワが幼少期の記憶をテーマに、ロシアの自然に囲まれて暮らす兄妹たちのかけがえのない夏の日々を、美しい風景とともに2009年から継続的に撮りためてきた作品群です。ロシアには夏の期間、祖父母が住む田舎の家や、「ダーチャ」と呼ばれる自然の家で過ごす習慣があり、寒い冬が訪れる土地で、夏という季節は特別な意味を持ちます。そして太陽が輝く夏がいつの間にか始まり去って行くように、あどけない少年少女たちも知らず知らずのうちに成長し大人になっていきます。そんなささやかな、けれど誰もが経験するであろう変化を、“林檎が落ちる音”という言葉が暗喩しています。刹那的でありながら懐かしく、記憶の奥に柔らかく触れる写真たち。国境を越えた普遍的な感性によって、清々しい一冊が生まれました。
――林檎が木から落ちた、それだけのこと。木にいたときも誰の目にも触れず、落ちても草の中に隠れたままの小さな林檎。その音だけがいつまでも記憶に残った。アーニャが11歳になった年の夏の終わり、彼女の髪の毛が一番長く伸びた8月のことだった。(あとがきより抜粋)
デザイン 須山悠里
サイズ A4判変型 / 72ページ
発行日 2016年
出版社 torch press
Elena Tutatchikova エレナ・トゥタッチコワ | アーティスト
1984年、ロシア、モスクワ生まれ、京都市在住。人間としていかに世界を知覚し想像できるかを問いながら、歩き、考え、経験したことを絵画やドローイング、セラミック、言葉、映像、写真などの作品を通して表現する。
モスクワでクラシック音楽や日本の文学を学んだ後、2012年より日本へ渡る。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現領域博士後期課程修了。博士(美術)。
第 38 回写真の町東川賞 特別作家賞 受賞。「VOCA展2023」奨励賞 受賞。
著書に写真集『林檎が木から落ちるとき、音が生まれる』(torch press, 2016)、作品集『聴こえる、と風はいう』(Ecrit, 2022)。
近年の主な個展に「On a Windy Path | 風の音が道になって」POST(東京、2024)、「Days With the Wind | 風の日は島を歩く」高松アーティスト·イン·レジデンス2020(女木島、高松市、2021年)、グループ展に「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」国立西洋美術館(東京、2024)、「新しいエコロジーとアート」東京藝術大学大学美術館(東京、2022)、「開館20周年記念展 Flower of Life 生命の花」 ヴァンジ彫刻庭園美術館(静岡、2022)、「FACES」SCAI PIRAMIDE(東京、2021)、「Land and Beyond | 大地の声をたどる」ポーラ ミュージアム アネックス(東京、2021)など。https://elenatutatchikova.com/